■はじめに
受験開始後3年目にリーダーズを受講しました。以前に他の予備校で山田先生の直前期対策講義を受講したことがあり、ビジネス的な論理的思考やフレームワーク思考がとても解しやすく、受験が楽しくなる感覚がありました。その山田先生が主宰するということでリーダーズの受講を決めました。
コース選定に当たっては、基礎的な部分は一通り終わっていたので、より高得点を目指して竹内先生の上級ファンダメンタル講座を受講しました。残念ながらその年は一般知識の足切りで合格できませんでしたが、択一の点数が飛躍的に伸びたので効果は十分出ていると実感しました。 翌年はリーダーズのテキストを使用してほぼ独学にしました。
不合格ながら176点まで点数が伸びましたので、使用する教材と勉強方法は間違っていないと確信しました。今年は記述抜き180 点を突破して合格を確実にしたいと思っていたのと、モチベーションの維持にはゼミ形式が良いと考えていたところ、竹内先生の上級ゼミが210点を目標として掲げていましたので、竹内先生の上級ゼミの受講を決めました。
■合格までの道のり
勉強は2月後半から開始しました。余裕のある段階で行政法・民法・憲法の論点を一通り確認しました。4月から竹内先生の上級ゼミが始まりました。土曜日の朝から夕方まで、行政法と民法の他資格も含めた過去問5~8問を解きました。
出題範囲は事前に知らされるのですが、問題は当日配布されました。先生から予習は不要と言われましたので、ゼミの前日に出題予定の項目に目を通す程度にしました。
竹内先生のゼミは、各問題の肢ごとに受講生全員に対して、どうしてそのような解答に至ったかの解説を求められ、民法ではホワイトボードに図も書かせられました。
たとえ正答であっても、その根拠の説明ができない場合や曖昧な場合には、その論点の趣旨を正確に理解していないことになり、本試験で違う角度から出題された場合に解答を導き出せないという事態になります。
竹内先生のゼミでは、重要論点や条文について、当事者間の権利・義務関係や誰を保護するための制度なのか等、その制度に関する立法の趣旨をしっかりと教えて頂きました。
いくら過去問を解けても、全く同じ問題はほとんど出題されません。しかし、同じ論点の問題は周期的に何度も出題されています。論点に関する制度趣旨を正確に理解することを目的とする竹内先生のゼミは、正に本試験会場で正答を導き出すための思考力を養う為のゼミです。
また、他の受講生みんなが正解しているのに自分だけが不正解の場合や、論点の根拠を正しく理解をしていなかったために間違った解説をした場合には、やはり悔しいという気持ちが生じます。そのような対人関係の感情に伴った学習方法はゼミでしか経験できません。
これが記憶の定着に役立つ効果があるのだと思います。ゼミの翌日の復習時には、理解が不十分だったところを重点的に復習し、知識の精度向上に努めました。
前回の本試験では一般知識の足きりで悔しい思いをしていたので、山田先生の「上級ファンダメンタル科目別一般知識」と「H29試験委員から見る早まくり出題予想科目別一般知識」を受講し、改めて一般知識を一通りインプットしました。
一般知識は法令科目のように条文や論点を学習するということは難しいのですが、山田先生の講義では過去問と試験委員の専門分野からの分析をして今年の出題傾向を予測するという手法を取っており、その予測にお任せして、余計なことは考えずに山田先生の言われたところを覚えました。お陰様で今年の一般知識は40 点を取得して足きりを回避できました。
■勉強時間をどうやって捻出するか
行政書士資格を目指す方は、ほとんどの方が社会人受験生ではないかと思います。社会人は仕事や家事など日々やる事が沢山あり、その優先順位は人それぞれ異なると思いますが、私は基本的に勉強より仕事や家族を優先しました。
我が家は共働きなので家事などの日常生活上の役割分担がありますが、できる限り勉強を理由に自分の分担を疎かにすることがないように努力しました。実際には、なかなか合格しないという精神面で家族にだいぶ負担をかけておりましたが。
「早く行政書士試験に合格したい!」となりますと、日常的な生活活動以外の時間から勉強時間を捻出しなければなりません。そこから纏まった勉強時間を捻出するには、やはり睡眠時間を削るしか方法はありません。
私の場合には、朝5 時に起床して出勤前の朝食までの約1 時間半を捻出しました。
また、夕食時の晩酌もほどほどにして、夜寝るまでの間の1時間を捻出しました。平日にはそれ以外に纏まった可処分時間を確保することが難しいので、あとは隙間時間を利用しました。通勤電車内、乗り換え時のホームのベンチ、仕事中の移動時間、昼休みの食後の時間など、テキストを開くことができる僅かな時間を利用しました。
また、暗記のために歩行中にぶつぶつ言いながら論点を反芻しました。一見大変そうですが、そのような生活を長く続けていると習慣化されてしまい、無理して受験生活をしているという感覚が無くなり、日常生活の中に勉強が自然と組み込まれている状態でした。
勉強時間をどのように捻出するかは、各自が置かれた状況により方法は異なると思います。仕事をしながらの勉強は大変ですが、むしろそのような特別な状況を楽しめるくらいの楽観思考の方が継続できるのかもしれません。
■私の『失敗談』と『成功談』
失敗談としましては、前述の通り竹内先生の上級ゼミは210点を目標としており、私もそれを目指して勉強し、10月初旬の全国公開完全模試では220点を取得しました。
模試で絶対に合格圏内に入るんだという目標が達成されました。これで知識量的には十分であると確信し、更にその精度を上げることが残された時間にすべきであると考え、本試験までの民法・行政法を中心にテキストの重要論点と条文に繰り返し目を通しました。方向性としては間違っていなかったと思います。
しかし、本試験の結果は模試よりも40点近く下がり182点でした。本試験があと1週間後であったならば180点を下回っていたかもしれません。模試後の数週間の過ごし方が重要であることは充分認識していましたが、「今年は合格できそうだ」という意識が優先してしまい、本試験前の知識の精度向上が疎かになっていたと思います。
いま考えると、模試の前までにやっていたことを淡々と続けられていればよかったのでしょう。超直前期にはメンタル面での自己コントロールがとても重要であると認識しました。
成功談としましては、今年は特に重要条文の暗記に努めたことです。私は暗記があまり好きではなく、どちらかというと理論で理解する方が好きでした。
しかし、法律系の資格である以上は法律が出題のベースになっているので条文の暗記が必要であると考え、直前期の9月以降は論点の理解に加えて重要条文の暗記をしました。
今年の本試験では民法の記述式で条文がそのまま出題され、その条文をしっかりと暗記していたことが今年の合格に直結しました。
■最後に
行政書士試験の受験生はフルタイムで仕事をしている方やパートタイムの方、専業主婦の方など様々な立場の方がいます。たとえ同様の立場であっても、可処分時間や経済力は各自異なります。
しかし、行政書士試験に合格できる基準はすべての受験生に共通です。つまり、合格を目指している以上は、受験環境の違いは合否に関係ないということです。
合格基準は決まっていますが、自分が試験に合格するための条件は自分でしか判りません。予備校の先生も、合格した諸先輩方にも判りません。合格することを決意してから合格するまでの間に、合格基準を満たすために自分自身を変えていくことが合格までの道のりになるのだと思います。
私は行政書士の受験勉強を通じて、改めて勉強することの楽しさを感じることができました。今後も開業に向けて色々な実務の知識を得ることを楽しみたいと思います。
受験生の皆さんも、せっかくならば合格までの道のりを楽しんで、次の合格を勝ち取ってください。